蹴鞠とは、中国伝来の蹴球技で、「しゅうきく」、「くえまり」などとも呼ばれています。「四本懸(しほんかかり)」と呼ばれる桜・柳・楓・松の四本の樹を四隅に配置したフィールドにて、鹿皮製の円形の鞠を「やあ」「あり」「おう」などと、掛け声をかけて順に蹴りつなぐ球技・遊戯です。

蹴鞠は、かつては正月四日に恒例行事として「鞠始」が行われ、難波・飛鳥井両家がこれを務めていましたが、主に京都にいた皇族や公家を中心として親しまれていた遊戯であったことから、現代でも京都を中心に各地の神社などで奉納行事として催されています。

 例えば、京都では現在、賀茂御祖神社(下鴨神社)にて毎年1月4日に「蹴鞠はじめ」が行われています。水干に袴、烏帽子を被った鞠人が、皮製の沓(くつ)で巧みな足さばきで鞠を蹴り上げていく姿は、実に壮観です。この「蹴鞠はじめ」は、明治時代に近代化が進むなかにあって、古来の伝統的な民俗芸能が廃れてしまうことが危惧されたこともあり、明治天皇によって蹴鞠を保存するようにとの勅命があり、明治36年に御下賜金をもとに蹴鞠保存会が創立されて、正月の神事の一つとして現在に至っているものです。

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